vol.1 キャッシュレス社会の今

キャッシュレスとは、現金以外の方法で支払うこと。

「キャッシュレス」という言葉をよく耳にするようになりましたが、そもそもキャッシュレスとは何でしょうか。カタカナ表記やスマートフォンを使った決済などによる連想から、先進的な仕組みをイメージしがちですが、キャッシュレス、つまり「現金以外の決済手段を使って物を買ったり、サービスの提供を受けたりする取引」は、古くから存在しています。

手形の歴史は中世にまでさかのぼれますし、私たちが利用している預金口座からの自動引落しや振込みもキャッシュレスです。ついでにいえば、銀行預金は預金通貨とも呼ばれ、通帳に記載された数値は実体をともなわないバーチャルな存在である点で、電子マネーとも相通じるところがあります。現に銀行預金といえど、全額が保護されるものとは限りません。預金通貨はあくまで、口座を管理する銀行が発行しているものだからです。

ともあれ、今日のキャッシュレスは現金と同じ価値を持つデジタルデータの送受信によって広く浸透したものであり、そのおもな決済手段としては、クレジットカードや電子マネーのほか、デビットカード、プリペイドカード、コード決済が知られています。では、これらを使ったキャッシュレスにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

キャッシュレスは、「消費者」にとって魅力がたくさん。

キャッシュレスのメリットは、立場によって異なります。まず「消費者」としての立場からいえば、レジで小銭を数える必要がなく、スマートフォンやカードを使ってスピーディに買物ができます。記録が残ることからお金の使い道を検証できるほか、買物をするたびにポイント還元や割引などの特典を受けられることは大きな魅力といえます。

キャッシュレス決済のなかには、クレジットカードのように後払いが可能なものもありますから、所持金以上の買物ができることも利点といえるでしょう。そして何といっても、現金の紛失や盗難の心配がなくなり、不正利用された場合の補償も進んでいることから、セキュリティの面で安心や信頼を担保してくれます。

「お店」や「国」にとっても、メリットが大きい。

正確な利用金額がスムーズに支払われるなど、キャッシュレスの効用は、商品やサービスを提供する「お店」にもあります。レジ締め作業やお釣りの準備も必要なければ、消費者への特典が集客力向上にもつながります。キャッシュレス決済を通じてお金の流れが正確に把握できることは、経理の負担を減らし、正しい額での納税にもつながることから、「国」にとってもメリットとなります。

特に近年は、高額紙幣がテロ組織への資金提供やマネーロンダリングに使われていることを受け、各国で高額紙幣が次々と廃止になっています。日本では1万円札が、流通している紙幣総額の9割近くを占めており、このことが国際社会で問題視されるようになっていることからも、お金の流れが捕捉できるキャッシュレスを、日本政府も重視しています。

このようにキャッシュレスは、消費者、お店、そして国の三者にとってメリットが大きく、キャッシュレス化は前進することはあっても、後退することはないでしょう。

新サービスを裏で支えているのも、キャッシュレス。

キャッシュレスの普及によって、新しいサービスも次々に生まれています。『Amazon』などに代表されるeコマース(電子商取引)は、パソコンからスマートフォンへと移行し、さらにAIスピーカーの登場によって音声だけでもネット注文ができるまでになりましたが、このeコマースはキャッシュレス決済なくして成立しないのは周知の事実です。

さらに近年、世界中で注目されているのが「シェアリングエコノミー」です。自動車や住居、衣類など、個人所有の資産を他人に貸出す、あるいはその貸出しを仲介するサービスが急速に普及しています。自家用車を利用した配車サービス『Uber(ウーバー)』や、個人所有の空き家、空き部屋を民泊として貸出す『Airbnb(エアビーアンドビー)』などは、その代表例といえるでしょう。こうした新サービスの成長を裏で支えているのも、スムーズな決済、つまりキャッシュレスなのです。

もはやキャッシュレスは世界の潮流となっているのですが、その進展具合について国際比較をすると、日本は意外にも遅れています。少しデータが古くなりますが、2015年の数値によれば、日本のキャッシュレス決済比率は18.4%で、アメリカの45.0%の半分にも満たず、おとなり韓国の89.1%には遠くおよびません。

正しく理解することが、快適生活の一助に。

偽造を難しくする高度な印刷技術、治安のよさ、現金決済を便利にするインフラの普及など、日本でキャッシュレス化が進まない理由についてはさまざまに考えられますが、最大の要因は「慣れ」だといわれています。習慣を変えるためには努力を要しますから、それも当然かもしれません。そこで近年は、政府もキャッシュレス化の推進に本腰を入れています。

2019年10月に実施される消費税率引上げ後の消費冷込み対策として、政府は中小・小規模事業者の対象お店舗でキャッシュレス決済(クレジットカードやアプリ決済等)をすると、決済額に対して最大5%のポイントを還元することを発表しています。また、中小・小規模事業者に対し、決済端末の導入や決済手数料に関する補助金も用意しています。これに呼応する形で、決済事業者もさまざまなキャンペーンを実施しており、キャッシュレスを利用するほどに、たくさんの特典を享受できるようになっています。

超低金利や年金問題、振込め詐欺など、不安材料には事欠かない昨今ですが、さまざまなキャッシュレスサービスについて正しく理解することは、快適生活の一助となります。キャッシュレスをより一層、上手に使いこなしたい人には、今がよい機会かもしれません。

キャッシュレス決済は、1~3の組合せで整理できる。

QRコードはデンソーウェーブの登録商標です。

解説:岩田昭男

いわた・あきお/消費生活ジャーナリスト。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野に明るく、マスメディアへの出演のかたわら、精力的に取材、執筆中。著書、監修書多数。

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