会員規約等変更の理由および主要な変更点

I 会員規約等を変更する理由

1 取引環境の変化に対応するため

ICカードの普及やEC取引の増加など、クレジットカード取引に関する環境は変化しておりますが、現行会員規約では十分に対応できておりません。そこで、これらに対応するため、必要な規定を置くこととしました。

2 民法、割賦販売法など関係法令の改正に対応するため

債権分野に関する民法改正(債権法改正)が2020年4月1日から施行され、定型約款に関する規定が新設されたほか、債権譲渡や消費貸借、委任に関する規定が修正されるなどしております。また、2021年4月1日に施行された改正割賦販売法では、デジタル社会の進展を踏まえ、法定書面交付義務から情報提供義務に変更されるなどしております。そこで、これらの規定に対応するため必要な改正を行うこととしました。

3 できる限り明確でわかりやすい規定に改めるため

どのような要件のもとどのような効果が生じるかについてできる限り具体的に規定すること、必要に応じて計算式や表を活用することなどを通じ、規定内容ができる限り明確にかつわかりやすくなるようにしました。

Ⅱ 主要な変更点

1 会員規約の形式面の変更

  1. 会員規約の各条項の配列を以下のとおり再整理しました。
    1. カード会員契約の成立およびカード会員契約締結により会員が有する地位に関する事項(M*1 D*2 N*3:第1編)
    2. ショッピング利用に関する事項(MDN:第2編第1章第2章)
    3. キャッシングサービスおよびカードローンの利用に関する事項(MDN:第2編第1章第3章)
    4. 支払に関する事項(MDN:第2編第4章)
    5. 退会、会員資格の取消等に関する事項(MDN:第3編)
    1. Mは、MUFGカード個人会員規約または個人会員規約を指します(項番7まで同様)
    2. Dは、DC個人会員規約を指します(項番7まで同様)
    3. Nは、NICOSカード会員規約を指します(項番7まで同様)
  2. 現行会員規約が1か条に多岐にわたる事項を規定していたことを改め、1か条に規定する事項を絞り込むとともに、当該条項で規定した内容を踏まえた見出しを設けました。
  3. 目次を設けました。
    以上(1)から(3)の変更により、必要な条項を探しやすくするようにいたしました。

2 カード会員契約の締結により会員が有する地位に関する条項についての変更

  1. 暗証番号を用いた取引が増加していることを踏まえ、暗証番号の設定および管理に関し求められる事項について現行規約より詳細に定めました(MDN:12条、14条)。
  2. カードの占有喪失時の本会員の義務と責任の範囲につき整理しました(MDN:15条、16条)。
  3. カード情報が不正利用される事案が発生していることを踏まえ、偽造カードまたはカード情報の他人利用のおそれが生じた場合の調査に関する事項を規定するとともに、偽造カードまたはカード情報が利用された場合の本会員が責任を負う範囲を明確にしました(MDN:17条、18条)。
  4. クレジットカード本人認証サービスの普及を踏まえ、現在特約に定められているクレジットカード本人認証サービスが利用された場合の本会員の責任の範囲につき会員規約中に整理して定めました(MDN:20条)。
  5. 民法上故意または過失により契約上の義務に違反した場合にはこれにより生じた損害を賠償する義務を負うこととされているところ、上記(1)から(4)までの義務については、本会員が故意または重大な過失により違反した場合に限り、カード等利用代金等相当額以外に当社に生じた損害についても当社が損害賠償を請求できることを規定しました(MDN:16条4項、18条3項、19条3項、20条3項)。
  6. M現行会員規約ではクレジットカード番号等を他人に預託することが禁止されている一方、ネットショッピングサイトやコード決済事業者などにクレジットカード番号等を登録して利用することが増加していることを踏まえ、クレジットカード番号等を登録して利用できる場合を定めるとともに、登録されたクレジットカード番号等が利用された場合の本会員の責任の範囲を明記しました(MDN:21条)。
  7. 資金洗浄やテロ資金供与などの金融犯罪遂行を目的としもしくはその手段としてカード会員契約を締結しまたはカード等を利用することが禁止されることを明示的に規定しました(MDN:27条)。
  8. 家族会員に関する規定を以下のとおり整備しました(MDN:第1編第3章)。
    1. 家族会員として指定できる要件を規約上に明記しました(MDN:30条1項)。
    2. 家族会員のカード利用ができる範囲が原則として本会員と同一(ただしカードローンを除く)であることを明記するとともに(MDN:30条2項)、キャッシングサービスの利用を不許とすることができることを明確にしました(MD:30条3項から4項)。
    3. 本会員が、家族会員のキャッシングサービスの利用の可否を変更しまたは家族会員の資格を喪失させる場合の手続と効力発生時期を明確にしました(MD:30条4項、MDN:33条2項)。
    4. 当社が家族会員の指定の承認を撤回できる場合を規定しました(MDN:35条)。
    5. 家族会員が家族会員の資格を失った場合における本会員の責任につき、従前の運用を整理の上、規約に明記しました(MDN:36条)。

3 ショッピング利用に関する条項についての変更

  1. 加盟店においてカード等を利用したときには、本会員が当社に対して売買代金等につき立替払の委託を申し込んだものであることを明確にするとともに、加盟店に対する支払について、取引の実態に合わせて規定を整備しました(MD:44条、N:43条)。
  2. クレジットカード本人認証サービスの普及を踏まえ、これを利用すべき場合を定めました(MD:47条2項、N:46条2項)。
  3. M現行会員規約ではクレジットカード番号等を他人に預託することが禁止されている一方、実体においてはクレジットカード番号等を登録して利用することが増加していることを踏まえ、クレジットカード番号等を登録して利用できる場合を定めるとともに、退会等で会員資格を失った場合にクレジットカード番号等の登録を削除すべきことを定めました(MD:48条、N47条)。
  4. カードの不正利用を防ぐため、ショッピング利用時の本人確認等に関する規定を整備し、当社または加盟店が行う本人確認に応じるべきことを定めるとともに、加盟店から当社に対し、ショッピング利用に係る売買等に関する情報またはカード利用者に関する情報を提供できることを規定しました(MD:51条、N:50条)。
  5. ショッピング利用に係る禁止行為等を整理しました(MD:52条、N51条)。
    いわゆるショッピング枠の現金化など、資金調達を目的とするショッピングの利用が禁止されることなど、基本的には現行会員規約と同様です。また、以下の事項を禁止行為として明示的に規定しました。
    1. 禁制品の購入など違法な目的または違法な行為の手段として行われる利用
    2. 金融商品取引法で認められる場合を除き、金融商品購入のための利用
    3. 投機性が高い商品等の購入等に係る利用
    4. 不当にポイント、マイルなどカード利用による特典等を得ることとなる利用
  6. 海外加盟店でショッピング利用時に邦貨建て利用されるものが増加していることを踏まえ、海外アクワイアラー加盟店におけるショッピング利用のうち、邦貨建てで利用されたものについての規定を新設しました(MD:55条、N:54条)。

4 キャッシングサービスおよびカードローン(キャッシングリボ)に関する条項についての変更

  1. 金銭消費貸借契約につき、金銭の交付により成立することを定め、債権法改正で規定された合意のみによる金銭消費貸借契約(諾成的金銭消費貸借契約)ではないことを明確にしました(M:82条、D:81条、N:80条)。
  2. キャッシングサービスおよびカードローン(キャッシングリボ)に係る禁止行為として、事業性資金の借入れを規約中に明記しました。また、利用地と返済地、利用日と返済日などからみて実質的に送金となるご利用については、法令に違反するおそれがあることから禁止であることを規定しています(M:86条、D:85条、N:84条)。
  3. カードローン(キャッシングリボ)について、次回約定支払日に支払う金額を臨時で増額するための手続を具体的に規定しました(M:103条、N:102条)。

5 支払に関する条項についての変更

  1. 事務処理の都合により締切日および約定支払日が変更される場合の取り扱いについて、具体的に規定しました(M:106条、D:103条、N:105条))。
  2. インターネットやスマートフォンの普及を踏まえ、かつ割賦販売法が改正されたことをうけて、ご利用明細について原則として電磁的記録の提供の方法によることを規定するとともに、ご利用明細書を送付する場合の取扱いについて規定しました(M:107条、108条、D:104条、105条、N:106条、107条)。
  3. ショッピング利用代金のうち、1回払いまたはリボルビング払いを除く利用に係るものの遅延損害金につき、法令の改正により、最初に遅滞した時点における法定利率(変動利率が採用されています。現在は年3%です。)によることとされており、当社においてもすでにそのとおり取り扱っておりますが、今回、会員規約上も明確に規定しました(M112条、D109条、N111条)。
  4. 約定支払日前の支払の規定によらずまたはこれに反して支払がなされた場合の精算ルールに関連し、現状の運用を踏まえ、当該支払われた金員につき返金をする場合でも利息を付さないことおよび返金費用を本会員が負担することを明確にしました(M:115条2項3項、D:112条2項3項、N:114条2項3項)。

6 退会、会員資格の取消その他の条項についての変更

  1. 反社会的勢力の排除に関する事項を会員規約本文に規定しました(M:121条、D:118条、N:120条)。
  2. 会員規約の変更につき、社会情勢または経済状況の変動、法令、自主規制機関の規則もしくは国際ブランドのルール変更または当社の業務もしくはシステムの変更などに対応するためその他の必要があるときには、民法の定めに従い変更することができる旨およびその手続を規定しました(M:125条、D:122条、N:123条)。
  3. 現行会員規約が一定の事由がある場合に、「カード利用の停止、会員資格の取消し、法的措置等の必要な措置」をとることができると定めていた点を改め、当社がとりうる措置につき会員資格の取消とカード等の利用停止の2種類であることを明確にするとともに、会員資格の取消とカード等の利用停止を別個に規定し、要件と効果の対応関係を明確にしました(M:127条および128条、D:124条および125条、N:125条および126条)
  4. 会員資格の取消が本会員と当社との間のカード会員契約の解除であることを明確にしました(M:127条、D:124条、N:125条)。
  5. 現行会員規約が本会員または家族会員を区別せずに会員に一定の事由が生じた場合に無催告で会員資格を取り消しうると定めている点を改め、以下に区分して規定しました(M:127条、D:124条、N:125条)。
    • A 本会員に生じた事由であって無催告で会員資格の取消に至るもの
    • B 本会員または家族会員に生じた事由であって、無催告で会員資格の取消に至るもの
    • C 本会員に生じた事由であって催告により会員資格の取消に至るもの
  6. 現行会員規約で、会員資格取消事由とされている事項についてできる限り明確に定めました。特に、現行会員規約で、「本規約に違反し、もしくは違反するおそれがある場合」、「その他当社が必要と判断した場合」と規定されている事項については、上記(5)AからCまでに区分の上、それぞれ以下が該当することを明確にしました(M:127条、D:124条、N:125条)。
    • A 本会員に生じた事由であって無催告で会員資格の取消に至るもの
      1. 他人へのカードの譲渡などの処分行為がなされたこと、他人に占有を移転したことまたはカードの複製等を行ったこと。
      2. 暗証番号またはクレジットカード本人認証サービスで用いるIDおよびパスワードにつき他人に伝えまたは故意もしくは重過失により他人が知ることができる状態に置いたこと。
      3. カードの占有喪失等の状況等に関し虚偽の届出をなし、占有喪失に関する当社の調査に協力せずもしくは虚偽の説明をしまたはカードの占有を喪失したことによる損害拡大防止に協力を求めたにもかかわらずこれを行わなかったこと。
      4. 資金洗浄やテロ資金供与などの金融犯罪遂行を目的としもしくはその手段としてカード会員契約を締結しまたはカード等を利用することの禁止に違反したこと。
      5. 付帯サービスの利用が濫用的であり催告にもかかわらず濫用的利用が継続したこと。
      6. ショッピングまたはキャッシングサービスおよびカードローンの利用に係る禁止行為に違反したこと。
      7. 反社会的勢力に該当しない旨の表明、確約を拒み、撤回しまたはこれらを行っていない旨を主張すること。
      8. 家族会員に対して会員規約上の義務を遵守させる義務に違反し、家族会員が上記①から⑥までに該当したこと。
      9. 本会員の住所および居所または職業もしくは勤務先が不明となったこと。 
      10. 当社と提携する事業者と本会員との間のカード会員契約に基づく債務につき、当社が本会員から委託を受けて保証をしている場合において、当該カード会員契約につき、当該契約に定める会員資格取消事由に該当したことにより解除されたこと。
    • B 本会員または家族会員(以下総称して「会員」といいます。)に生じた事由であって、無催告で会員資格の取消に至るもの
      1. 会員が、当社の業務に関連し、当社や当社委託先またはその役員、従業員もしくは代理人(当社等)に対して暴力行為をなしまたは威迫したこと。
      2. 会員が、風説の流布、偽計または威力を用いて当社の信用を毀損しまたは業務を妨害したこと。
      3. 当社の業務に関連し、著しく長時間または多数回にわたり苦情申出その他の連絡を行う、義務ないことを行うことを執拗に求める、差別、人格否定、性的な言動など著しく不当な言動を繰り返すなど、当社等の業務または私生活の平穏を害する言動を行い、信頼関係を維持することができない状態に至ったこと。
      4. 会員が当社の事務処理またはシステムの運用を阻害するおそれのあるカード利用その他の言動をなし、当社がこれを行わないよう求めても応じなかったこと。
      5. 当社との取引に関し、信義誠実の原則に反する行為もしくは言動をなしまたは信義誠実の原則に著しく反してなすべき行為をなさなかったことにより、当社が当該会員との取引を継続することが困難となったこと。
      6. クレジットカードシステムの利用に関し、法令に違反しまたは公序良俗に反する行為をなしたこと。
    • C 本会員に生じた事由であって、催告のうえ会員資格の取消に至るもの
      1. 届出事項変更時の届出、年収等の申告など、各種届出義務、申告義務の不履行
      2. 列挙された事項以外の会員規約上の義務違反(軽微なものを除く)
  7. 会員の責に帰すべき事由がない場合であっても、以下の事由があるときには、相当な予告期間を定めて通知することにより、カード会員契約を将来に向かって解約することができることを定めました(M:129条、D:126条、N:127条)。
    1. 当社が、合理的理由によりカードの商品性を変更する必要がある場合
    2. 第三者と提携して発行するカードについて提携関係を終了したなどの合理的理由により、カードの継続発行が困難になった場合
    3. 会員が長期間、カードのショッピングおよびキャッシングサービスを利用しないなど利用状況に照らして合理的理由がある場合
  8. 更新カードを発行しなかった場合で、相当期間内に本会員から更新カード発行の申し出があり当社がこれを承認した場合を除き、有効期間満了時点でカード会員契約が終了することを明確にしました(M:130条、D:127条、N:128条)。
  9. カード会員契約が終了した場合の効果について明確にしました(M:131条、D:128条、N:129条)。

7 削除した条項

  1. 戦争、地震等著しい社会秩序の混乱の際に盗難、紛失等が生じた場合にカードの盗難紛失時の本会員が免責されない旨の規定(現行会員規約M:17条3項3号、D:14条2項3号、N:12条3項6号)
    大震災などで社会秩序が混乱した状況下での盗難等の場合に当然に本会員が免責されないとすることは妥当でないことによります。この場合の本会員の免責の成否は他の条項によって判断されることになります。
  2. 当社の債権譲渡等の同意(現行会員規約M:21条、D:16条の3、N19条)
    当社取引金融機関等への債権譲渡につきあらかじめ本会員の同意を取得することについては想定される取引実態等を踏まえ削除することといたしました。
  3. 商品の所有権(現行会員規約M:29条、D:25条7項、N:23条3項)
    ショッピングを利用して購入した商品の所有権をショッピング利用代金が完済されるまで当社に留保する条項については、贈答用商品購入の代金支払いのためにショッピング利用がなされること、これらの利用を当社として制限していないことなどの取引実態を踏まえ削除することといたしました。
  4. 見本・カタログ等と現物の相違(現行会員規約M:30条、DN:28条)
    見本・カタログにより商品等の売買等を行った場合に現物と相違しているときには、加盟店に対し商品等の交換を求めまたは売買契約を解除することができるとの規定については、売買契約の当事者でない当社が約束することができない事項であること、このことは、特に、海外加盟店など当社が加盟店契約の当事者となっていない場合に妥当すること、特定商取引に関する法律の整備の状況などを踏まえ削除することといたしました。

8 楽Pay特約の変更

  1. 楽Pay特約(特約)の形式面を整理し、1か条の内容を絞り込み見出しを付すことにより、必要な条項を探しやすくしました。
  2. 現行の特約で明確にされていなかった以下の事項について、具体的に規定しました。
    1. 楽Pay登録前のショッピングリボ残高を楽Pay登録によるショッピングリボ残高と合算し、特約に定める支払方式により支払うこと(M*1:10条から14条、D*2 N*3:10条から12条)。
    2. 特約に定めるショッピング利用手数料の計算の特則の適用範囲と内容(M:15条、DN:13条)
    3. 楽Pay登録解除の効果に関する事項(M:特約21条、DN:特約19条)
    1. Mは、「楽Pay」特約を指します(以下同様)。
    2. Dは、「楽Pay」特別規約を指します(以下同様)。
    3. Nは、「楽Pay」特約条項を指します(以下同様)。
  3. 当社から楽Pay登録を解除できることおよびその事由を規定しました(M:20条、DN:18条)。