クレジットカードの基礎知識
更新:2025年8月25日

国民健康保険料はいくら?月額平均や計算方法をわかりやすく解説

国民健康保険料はいくら?月額平均や計算方法をわかりやすく解説

国民健康保険は、フリーランスや個人事業主などが加入する公的医療保険です。国民健康保険の保険料は収入や家族構成、年齢によって決められるため、定額ではありません。
ここでは、国民健康保険料の目安や計算方法、注意点などを解説します。

国民健康保険料がいくらかは収入や地域によって変わる

会社員が加入する健康保険(社会保険)に対して、フリーランスや個人事業主、年金受給者などが加入するのが、国民健康保険です。世帯主が国民健康保険に加入すると、配偶者や子供などの扶養家族も加入者になります。

国民健康保険料の金額は、収入や年齢によって変動し、各自治体が管轄する制度であるため、保険料率は自治体ごとに差があり、被保険者となる家族が多ければそれだけ納める保険料も増えていきます。正確な保険料額を算出するには複雑な計算が必要になるため、多くの自治体では保険料の目安の早見表や、シミュレーターを用意しています。国民健康保険料が知りたい場合は、お住まいの自治体のWEBサイトで保険料の目安の早見表や、シミュレーターを利用してください。

なお、東京都新宿区では、2025年度の健康保険料の目安は下記のようになっています。例えば、40歳未満で年収300万円の人の年間保険料は33万1,380円ですので、1カ月あたりの保険料の目安は2万7,615円です。

■ 所得・年齢ごとの国民健康保険料の目安(東京都新宿区)

総所得金額等 年間保険料
(未就学児は3万2,050円)
1カ月あたりの保険料
(未就学児は2,670円)
40歳〜64歳以外 40歳〜64歳 40歳〜64歳以外 40歳〜64歳
100万円 12万3,380円 15万2,805円 1万282円 1万2,734円
150万円 17万5,380円 21万6,055円 1万4,615円 1万8,005円
200万円 22万7,380円 27万9,305円 1万8,948円 2万3,275円
250万円 27万9,380円 34万2,555円 2万3,282円 2万8,546円
300万円 33万1,380円 40万5,805円 2万7,615円 3万3,817円
350万円 38万3,380円 46万9,055円 3万1,948円 3万9,088円
400万円 43万5,380円 53万2,305円 3万6,282円 4万4,359円
450万円 48万7,380円 59万5,555円 4万615円 4万9,630円
500万円 53万9,380円 65万8,805円 4万4,948円 5万4,900円
550万円 59万1,380円 72万2,055円 4万9,282円 6万171円
600万円 64万3,380円 78万5,305円 5万3,615円 6万5,442円
650万円 69万5,380円 84万8,555円 5万7,948円 7万713円
700万円 74万7,380円 91万1,805円 6万2,282円 7万5,984円
750万円 79万9,380円 96万9,380円 6万6,615円 8万782円
800万円 85万1,380円 102万1,380円 7万948円 8万5,115円
850万円 89万3,883円 106万3,883円 7万4,490円 8万8,657円
900万円 90万7,333円 107万7,333円 7万5,611円 8万9,778円
950万円 92万円 109万円 7万6,667円 9万833円
1,000万円 92万円 109万円 7万6,667円 9万833円

※出典:新宿区「令和7年度 国民健康保険料 概算早見表(総所得金額等)

上記表の「総所得金額等」は手取りや年収ではなく、退職所得を除く前年の各種所得の合計額(損益通算・繰越控除適用後)を指します。詳しくはお住まいの自治体のWEBサイトもあわせてご確認ください。

国民健康保険料の構成要素

国民健康保険料は、医療分、支援分、介護分と、大きく3つの要素で構成されています。ここでは、それぞれをわかりやすく紹介していきます。(2025年6月時点)

医療分:医療費にあてられる、国民健康保険の基礎となる保険料

医療分は国民健康保険の基礎となる部分で、医療費の財源にあてられます。国民健康保険では多くの場合、加入者の医療費負担は3割ですが、残りの7割が、この医療分から支払われることになります。
なお、医療機関の数や医療従事者の数、医療ニーズや医療財政などは、自治体によって差があるのが実情です。それらの事情が反映されるため、保険料は自治体によって異なってくるのです。

支援分:後期高齢者医療制度を支援するための保険料

支援分は、後期高齢者医療制度の支援金として使われる費用です。後期高齢者医療制度は、従来の医療保険とは切り離されたもので、75歳以上の人および障害の認定を受けた65歳以上の人が加入者になります。この制度の運用のための資金として1割を加入者から、5割を公費から、4割を国民健康保険などの支援分から調達しています。
支援金分をほかの医療保険から独立させているのは、財源を安定させることで、高齢者が安心して医療を受けられるようにするためです。

介護分:介護保険を支える保険料

介護分は、介護保険制度の運用にあてられる費用です。介護保険は、65歳以上の人が要介護認定を受けた場合、必要な介護サービスを受けるために使われる保険制度で、65歳未満であっても、加入者が特定疾病によって要介護認定となれば、介護サービスを受けることができます。40歳以上の全員が加入者となり、保険料を納付する義務があります。

介護分は、世帯に40歳以上の人がいなければ、納める必要はありません。そのため、40歳を過ぎて手取りが減るのは、この介護分が差し引かれているということです。

国民健康保険料の算出に使われる方式

国民健康保険の構成要素

国民健康保険の保険料は、前項で紹介した3つの要素で構成されています。そして、それぞれの保険料を算出する際に使われる方式が、所得割、均等割、平等割の3つです。これらの金額を合算したものが、1年間の保険料となります。

ここでは、所得割、均等割、平等割のそれぞれが、どのようにして決められているのか見ていきましょう。(2025年6月時点)

所得割:収入によって保険料を決める

所得割は収入に応じて算出する金額で、高収入であればあるほど高額になります。前年の総所得金額等から基礎控除額を差し引いた「算定基礎額」に、自治体ごとに決めた保険料率を掛けて算出します。
基礎控除額は前年の総所得金額等の額によって変化しますが、所得の合計が2,400万円以下の場合は43万円を控除できます。

均等割:人数に応じて決まる、定額の保険料

均等割は、世帯あたりの加入者の人数に応じて算出される保険料です。所得金額にかかわらず「1人いくら」という形で計算されます。ただし、1人あたりいくらになるか、その金額は自治体によって異なります。いずれにせよ世帯人数が多ければ、それだけ納める保険料は多くなると覚えておきましょう。

平等割:加入する全世帯が平等に負担する保険料

平等割は、国民健康保険に加入する全世帯が、平等に負担する保険料です。所得割のような所得による金額の差はなく、一定額を全世帯が等しく負担します。

なお、平等割を採用していない自治体もありますので、自分の世帯に平等割が設定されているかどうかは、毎年6月頃に郵送される国民健康保険料納入通知書、あるいは自治体のWEBサイトで確認できますので、チェックしてみてはいかがでしょうか。

国民健康保険料の計算方法

国民健康保険の保険料は、医療分保険料、後期高齢者支援金分保険料、介護分保険料を合算したものです。その算出のベースになるのは算定基礎額で、これは前年の総所得金額等から基礎控除43万円(総所得金額2,400万円以下の場合)を差し引いたものになります。
この算出法にもとづき、サンプルを挙げて国民健康保険料を計算していきます。

例1:年間所得200万円・一人暮らしの場合

まずは、年間所得200万円で一人暮らしの人をサンプルとします。加入者の諸条件は下記のように設定します。

加入者の諸条件

  • 居住地:東京都新宿区、独身・一人暮らし
  • 年齢:23歳
  • 前年の総所得金額等:200万円

東京都新宿区の保険料率等は、2025年度現在で下記のとおりです。

■ 東京都新宿区の保険料率等(令和7年度分)

(1)医療分 (2)支援金分 (3)介護分
均等割額 4万7,300円
×世帯の加入者数
1万6,800円
×世帯の加入者数
1万6,600円
×世帯の加入者のうち、
40歳〜64歳の加入者数
所得割額 世帯の加入者全員の算定基礎額×7.71% 世帯の加入者全員の算定基礎額×2.69% 世帯の加入者のうち40~64歳の算定基礎額×2.25%
賦課限度額 66万円 26万円 17万円

※出典:新宿区「保険料の計算方法について

以上の条件から、医療分、支援分(後期高齢者支援金分)、介護分の金額を割り出し、国民健康保険の保険料を算出してみます。なお、新宿区の場合、平等割は採用されていません。また、この例の23歳では介護分が対象外となるので、医療分と支援金分を所得割と均等割の合算で算出します。

医療分の算出方法

  • 医療分16万8,347円=所得割額((200万円-43万円)×0.0771)+均等割額(4万7,300円×1)

支援金分の算出方法

  • 支援金分5万9,033円=所得割額((200万円−43万円)×0.0269)+均等割額(1万6,800円×1)

上記のそれぞれの計算結果を合算した22万7,380円が、年間の保険料額の目安となります。

例2:年間所得300万円・夫婦二人暮らしの場合

次に、夫婦二人暮らしの場合を例に、保険料を算出してみましょう。加入者の諸条件は下記のように設定します。

加入者の諸条件

  • 居住地:東京都新宿区、配偶者(所得なし)有り
  • 年齢:27歳
  • 前年の総所得金額等:300万円

医療分の算出方法

  • 医療分29万2,747円=所得割額((300万円−43万円)×0.0771)+均等割額(4万7,300円×2)

支援金分の算出方法

  • 支援金分10万2,733円=所得割額((300万円−43万円)×0.0269)+均等割額(1万6,800円×2)

上記のそれぞれの計算結果を合算した39万5,480円が、年間の保険料額の目安となります。

シミュレーターを利用すれば、保険料がすぐわかる

国民健康保険料の算出式は、煩雑で面倒です。しかし、自治体によっては新宿区のように、所得金額と年齢による保険料の早見表を公開しているところがあります。「おおよその金額をつかみたい」という人は、公表されている早見表を利用するといいでしょう。

また、保険料の計算シミュレーターを用意している自治体もあります。その多くは前年の所得金額や年齢、家族構成などを入力することで、保険料額を知ることができるようになっています。「より正確な保険料の金額を知りたい」という人は、お住まいの自治体のWEBサイトをチェックしてみてはいかがでしょうか。

国民健康保険料の注意点

国民健康保険料については、注意しておきたい点がいくつかあります。次に紹介する注意点もしっかり押さえておきましょう。

保険料の納付は年に10回

国民健康保険料の納め方

自治体によって違いはありますが、国民健康保険料は、年間10回に分けて納付するシステムが一般的です。毎年4月から翌年3月までの1年分の保険料を、6月から翌年3月までの10カ月にわたって納めていきます。(2025年6月時点)

しかし、各自治体のシミュレーターや保険料早見表などでは、1カ月あたりの保険料が掲示されていることが多く、それらは「年間保険料÷12カ月」の金額です。しかし実際に支払う保険料は「年間保険料÷10回分」ですので、1.2カ月分の金額に相当します。自治体のWEBサイトで保険料の金額を確認したら、年間の納付回数についてもチェックしておきましょう。

※出典:大田区「保険料の該当月と支払い月期

家庭の状況に応じた減額措置がある

国民健康保険には、家庭の状況に応じた減額・減免制度が用意されています。こうした制度を活用すれば、保険料の負担を軽くすることができます。

・世帯所得による減額

前年中の所得が法律で定められた基準を下回る世帯については、均等割・平等割の金額を減額する制度があります。世帯主と加入者(被保険者)全員の前年中の総所得金額等によって、7割・5割・2割と3段階の減額が受けられます。該当する場合は居住地の市区町村役場で申告手続きを行ってください。

■ 東京都新宿区の保険料率等(令和7年度分)

減額の割合 世帯主と被保険者全員の
前年中の総所得金額等
7割
※未就学児は8.5割
43万円+((給与または年金所得者の合計数−1)×10万円)以下
5割
※未就学児は7.5割
43万円+((給与または年金所得者の合計数−1)×10万円)+(30万5,000円×世帯の加入者数)以下
2割
※未就学児は6割
43万円+((給与または年金所得者の合計数−1)×10万円)+(56万円×世帯の加入者数)以下

※出典:新宿区「保険料の減免について

・その他の減額・減免制度

自治体によっては、上記以外の減額・減免制度を設けているところがあります。例えば、災害や病気、勤務先の倒産などで、生活が著しく困難になった場合の減免です。会社都合で退職した人に対する減免や、東日本大震災の原発事故によって避難していた人が転入した場合なども減免措置があります。
どのような減額・減免制度があるかは、自治体によって異なります。お住まいの自治体のWEBサイトをチェックし、どんな制度があるのかを確認してみてください。

国民健康保険料の支払いはクレジットカードがおすすめ

国民健康保険料は、役所から郵送される納入通知書を使い、金融機関やコンビニで納付します。口座振替やスマートフォンを使ったキャッシュレス決済のほか、クレジットカードでの納付も可能です。

スマートフォンアプリ「モバイルレジ」を利用すると、納付書に印字されたバーコードやQRコードを読み取ることで、国民健康保険料をクレジットカードで納付することができます。(2025年6月時点)

クレジットカード払いなら現金を引き出す手間がなく、営業日も時間も選ばずに手続きができます。しかも納付した金額分はポイントとして還元されるためお得です。基本的にVisa、Mastercard®、アメリカン・エキスプレス®、JCB、Diners Clubなどの国際ブランドが国民健康保険料の納付に対応しています。なお、クレジットカード払いに対応していない自治体もありますので、事前に確認しておきましょう。

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国民健康保険は仕組みを知って、しっかり納付しよう

国民健康保険料は計算が複雑であり、正確な金額を出すのは手間がかかります。そのため、各自治体が用意している早見表やシミュレーターを利用するのが手軽で便利です。
また、国民健康保険は所得金額や世帯の事情にあわせて、いくつかの減額・減免制度が用意されています。その多くは申請が必要ですので、制度の内容を調べておき、利用できるのなら申請をしておきましょう。
なお、保険料の納付にはクレジットカードを使えば、現金を引き出す手間がなく、いつでも手軽に納付できます。ご利用金額分のポイント還元も受けられますので、おすすめの方法です。

監修者プロフィール

畑野 晃子(はたの あきこ)

FPサテライト株式会社所属ファイナンシャルプランナー
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
上智大学卒業後、損害保険会社に入社。査定業務を経験したのち、グループ内の生命保険会社に配属される。金融機関向けの代理店営業を担当し、セミナーや研修の講師を数多く経験。結婚を機に退職。その後、住宅購入の際にFPへ相談したことをきっかけに、ライフプランニングサービスに魅力を感じ、1級FP技能士資格を取得。自身の金融業界での勤務経験から、商品提案ありきではない、より中立的な立場でお客様の課題を解決したいと考えたことから、FPサテライト所属ファイナンシャルプランナーとして活動している。

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よくある質問
国民健康保険料がいくらかは収入や地域によって異なる?
国民健康保険料の金額は、収入や年齢によって変動します。また、各自治体が管轄する制度であるため、保険料率は自治体ごとに差があり、被保険者である家族が多ければそれだけ納める保険料も増えていきます。保険料は自治体が公開している保険料の目安の早見表やシミュレーターを使って、チェックすることをおすすめします。

詳しくは「国民健康保険料がいくらかは収入や地域によって変わる」をご確認ください。
国民健康保険料の構成要素は?
国民健康保険料は、医療分、支援分、介護分と、大きく3つの要素で構成されています。医療分は国民健康保険の基礎となる部分で、医療費の財源にあてられます。支援分は、後期高齢者医療制度の支援金として使われる費用です。介護分は、介護保険制度の運用にあてられる費用です。

詳しくは「国民健康保険料の構成要素」をご確認ください。
国民健康保険料はどうやって算出されるの?
国民健康保険の保険料は、医療分、支援分、介護分の3つの要素で構成されています。それぞれの保険料を算出する際に使われる方式が、所得割、均等割、平等割の3つです。これらの金額を合算したものが、1年間の保険料となります。

詳しくは「国民健康保険料の算出に使われる方式」をご確認ください。