クレジットカードの基礎知識
更新:2025年6月3日

住民税はいくら納める?年収から計算する方法や抑える方法を解説

住民税はいくら納める?年収から計算する方法や抑える方法を解説

一定額以上の所得がある人が課税される税金のひとつに、住民税があります。では、自分がどれくらい住民税を納付しているかご存じでしょうか?
住民税の納付額は、扶養家族の有無やふるさと納税の利用なども影響します。また、条件に該当すれば控除が適用されますので、住民税の計算方法や控除制度について正しく知っておくことが大切です。
ここでは、住民税の税額を知るために必要な計算方法や控除制度、負担を抑える方法などについて解説します。
なお、今後の税制改正によっては、給与所得控除の額が変わる可能性があります。最新情報については総務省および地方自治体のWEBサイトなどをご確認ください。

住民税は働き方によって徴収方法が異なる

住民税は、お住まいの都道府県や市区町村などの自治体に納める税金で、地域に密着した公共サービスをまかなうために使われています。住民税は個人だけでなく、法人にも課税されますが、本記事でふれるのは個人住民税(以下、住民税)についてです。

住民税の徴収方法は、個人事業主か会社勤めかで異なります。個人事業主なら、その年に納めるべき税額を4回(6月、8月、10月、翌年1月)、または一括で、お住まいの自治体から送付される納付書、または自治体指定のWEBサイトやアプリを使って納付します。一方、会社勤めの人は、事業主(会社)が特別徴収義務者となって、毎月の給与から住民税を天引きして納めることが一般的です。

住民税の納付額はいくら?

住民税の納付額を知るために、まずは住民税の税率を見ていきましょう。住民税は、前年の所得に対して課税される「所得割」と、定額で課税される「均等割」で構成されており、合算した額を納付します。また、2024年度からは新たに森林環境税1,000円が追加となり、均等割とあわせて徴収されます。それぞれの税率や負担額は以下のとおりで、前年の所得に対して課税される所得割は10%、定額で課税される均等割は4,000円、森林環境税は1,000円です。(2025年3月時点)

住民税の所得割

住民税の所得割は、前年の所得に対して課税されるため、所得が多いほど所得割の納付額が高くなります。また、所得割の税率は10%(道府県民税・都民税4%+区市町村民税6%)ですが、政令指定都市については道府県民税・都民税が2%、区市町村民税が8%となります。
なお、地方自治体によっては上記のパーセンテージや金額と異なる場合があります。詳しくはお住まいの地方自治体のWEBサイトをご確認ください。

住民税の均等割

住民税の均等割は所得にかかわらず、定額で徴収されます。徴収される金額は、均等割4,000円(道府県民税1,000+区市町村民税3,000円)と森林環境税1,000円のあわせて5,000円です。(2025年3月時点)

なお、自治体の条例や財政状況などによって、住民税が超過したり減税されたりすることがありますので、お住まいの自治体のWEBサイトにて最新情報をご確認ください。

「令和7年度(2025年)税制改正の大綱」で発表された住民税に関わる主な改正点

2024年12月に財務省「令和7年度(2025年)税制改正の大綱」が公表され、税制改正によって2026年分以後の住民税額については控除額などが変更になります。以下は2025年3月時点での変更点です。最新情報については国税庁のWEBサイトなどをご確認ください。

給与所得控除の最低保障額が引き上げされる

「令和7年度税制改正の大綱」(2024年12月)によると、2025年分以後の住民税について、給与所得控除の最低保障額55万円が65万円に引き上げられます。給与所得控除は、住民税を計算する際の所得控除のひとつで、給与所得控除額が上がればその分、課税される所得額が減り、税負担の軽減につながります。

特定親族特別控除(仮称)が創設される

「令和7年度税制改正の大綱」では特定親族特別控除(仮称)の創設という項目があります。まだ法案のため決定ではありませんが、これは19歳以上23歳未満の扶養親族等が所得要件を満たした場合、その扶養者は特定親族特別控除(仮称)を受けられるようにするという内容です。

特定親族特別控除(仮称)では、19歳以上23歳未満の親族等の所得の要件にあわせて、段階的に控除額が減少します。現法案での所得などの要件と控除額は以下のとおりです。
なお、19歳以上23歳未満の扶養親族等には、納税義務者の配偶者および青色事業専従者等は含まれません。(2025年3月時点)

■ 特定親族特別控除(仮称)の所得要件と控除額

19歳以上23歳未満の扶養親族等が所得要件 特定親族特別控除(仮称)の金額
合計所得金額 所得税 住民税
58万円超85万円以下 63万円 45万円
85万円超90万円以下 61万円
90万円超95万円以下 51万円
95万円超100万円以下 41万円
100万円超105万円以下 31万円
105万円超110万円以下 21万円
110万円超115万円以下 11万円
115万円超120万円以下 6万円
120万円超123万円以下 3万円

※財務省「令和7年度(2025年)税制改正の大綱」(2024年12月)を元に作成

所得要件が見直しされる

「令和7年度税制改正の大綱」において、所得税の基礎控除48万円は58万円に引き上げられますが、住民税の基礎控除43万円については据え置きになる予定です。
なお、所得税の基礎控除の引き上げを踏まえ、以下の所得要件も見直されます。

所得要件が見直される主な項目

  • 同一生計配偶者および扶養親族の合計所得金額の要件:48万円以下から58万円以下に引き上げ
  • ひとり親の生計を一にする子の総所得金額等の合計額要件:48万円以下から58万円以下に引き上げ
  • 勤労学生の合計所得金額の要件:75万円以下から85万円以下に引き上げ

住民税の計算方法

住民税は所得割と均等割の合算となっており、計算する際には所得控除や税額控除といった控除額を考慮する必要があります。そのため、住民税の計算方法は、以下のような3つのステップで行います。

1. 所得から所得控除を引いて課税所得金額を求める

年間の収入から経費や法的控除額を差し引いた「所得金額」から、医療費控除や社会保険料控除などの「所得控除」を差し引いて、「課税所得金額」を算出します。

2. 課税所得金額に税率をかけた数字から税額控除を引いて所得割額を求める

1で出した課税所得金額に税率10%をかけた数字から、税額控除額を差し引き、所得割額を算出します。税額控除とは、配当控除や寄附金税額控除、住宅借入金等特別税額控除などがあり、それぞれに控除される金額が決められています。詳しくは後述します。

3. 所得割と均等割を足して住民税額を求める

2で出した所得割額から均等割の4,000円と森林環境税の1,000円を足した金額が住民税額になります。

税金の計算をする上では、言葉の意味を正しく知っておくことも大切です。例えば、収入と所得は同じものだと混同されやすい言葉ですが、意味は異なります。所得は収入から必要経費を差し引いた金額で、会社員の場合、所得を割り出すには、収入によってあらかじめ定められている給与所得控除額を収入から差し引きます。
給与所得控除額は国税庁のWEBサイト「No.1410 給与所得控除」によると、以下のとおりです。(2025年3月時点)

なお、今後の税制改正によって、給与所得控除の額は変わる可能性があります。2025年3月時点での改正案は、給与所得控除の最低保障額を55万円から65万円に引き上げる予定です。最新情報については国税庁のWEBサイトなどをご確認ください。

■ 2020年以降の給与所得額

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
162万5,000円まで 55万円(※)
162万5,001円から180万円まで 収入金額×40%-10万円
180万1円から360万円まで 収入金額×30%+8万円
360万1円から660万円まで 収入金額×20%+44万円
660万1円から850万円まで 収入金額×10%+110万円
850万1円以上 195万円(上限)

※2025年3月時点
※税制改正により引き上げ予定の給与所得控除の最低保障額

所得控除と税額控除の違い

言葉の意味のほかに、控除の内容についても知っておきましょう。所得控除と税額控除は、控除額を所得から差し引くか、課税される税額から差し引くかという違いです。また、控除対象もそれぞれ異なります。

所得控除と税額控除の違い

例えば、所得控除では、扶養親族の有無、ケガや災害などによる出費といった個人的な事情を考慮して、課税対象者に応じた税負担になるように差し引かれるようになっています。

一方、税額控除は、ふるさと納税などの寄附をした場合や株式の配当などの配当所得がある場合、一定金額が税額から差し引かれます。それぞれ控除の種類は以下のとおりです。

■ 所得控除と税額控除の主な種類

控除の項目 主な控除の種類
所得控除 雑損控除/医療費控除/社会保険料控除/小規模企業共済等掛金控除/生命保険料控除/地震保険料控除/障害者控除/寡婦控除/ひとり親控除/勤労学生控除/配偶者控除/配偶者特別控除/扶養控除/基礎控除
税額控除 配当控除/外国税額控除/寄附金税額控除(ふるさと納税など)/調整控除/配当割額及び株式譲渡所得割額の控除/住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)

※2025年3月時点

控除の内容についてさらに詳しくは、東京都主税局のWEBサイト「個人住民税」など各自治体のWEBサイトでご確認ください。

住民税の計算例

では、住民税の計算例を見ていきましょう。住民税は前年の1~12月に一定以上の所得がある人に対して課税されるため、一般的に社会人2年目の6月から差し引かれるようになります。そのため、計算しやすいように社会人2年目以降の会社員として、以下のように設定し、2025年3月時点の税制で計算してみました。税制改正によって給与所得控除の金額が引き上げられることもあります。なお、現時点では住民税の基礎控除の額は維持で、所得税の基礎控除のみ引き上げられる予定です。

あくまでシミュレーションのため、金額設定のほか、調整控除などの細かな計算は割愛していますのでご注意ください。(2025年3月時点)

住民税を計算するための設定

  • 入社2年目以降の会社員(給与所得者)、独身、扶養家族なし
  • 年収300万円、所得控除額98万円、税額控除額なし

住民税の計算例

  • 1. 300万円(年収)-98万円(所得控除額)-87万円(基礎控除43万円+社会保険料控除44万円と仮定)=115万円(課税所得金額)
  • 2. 115万円(課税所得金額)×10%=11万5,000円(所得割額)
  • 3. 11万5,000円(所得割額)+均等割4,000円+森林環境税1,000円=12万円(住民税額)

住民税の負担を抑えるには?

控除制度や非課税制度の条件に当てはまれば、住民税の負担を抑えることができます。該当する条件は人によって異なりますが、例として以下の3つをご紹介します。

住民税が非課税になる条件を確認する

住民税は、以下のいずれかの条件に該当すると、所得割、均等割ともに非課税となります。自分が該当しているかどうかを確認してみましょう。

住民税が非課税になる条件

  • 生活保護を受給している
  • 未成年者、障がい者、寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は年収204万4,000円未満)の人
  • 前年の合計所得金額が各自治体の定める額以下
  • (2025年3月時点)

ふるさと納税を利用する

ふるさと納税は、好きな自治体に寄附を行い、寄附金額の2,000円を超える部分について、原則として一定の限度額まで所得税や住民税の控除が受けられるものです。住民税の負担を抑えることにはなりませんが、自治体によっては寄付の返戻品を受け取れる場合があります。控除を受けるには、期限内に確定申告を行ったり、ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用したりする必要がありますのでご注意ください。
また、控除の上限額は年収や家族構成によって異なるため、利用前に確認しておきましょう。

年間の医療費が10万円を超えるか確認する

1月1日から12月31日までの1年間の医療費が10万円(または、年間所得が200万円までの人は所得合計額の5%)を超える場合、上限200万円までの医療費控除を受けられます。ただし、医療費控除を受けるには、翌年に確定申告をする必要があります。なお、医療費控除は年末調整の対象外となりますのでご注意ください。

住民税をクレジットカードで納付するメリット

会社員の場合、住民税は給与から差し引かれますが、個人事業主の場合は自分で納付する必要があります。
自分で納付する際に、クレジットカードを利用するとさまざまなメリットを受けられます。クレジットカード納付のメリットは以下のとおりです。

住民税をクレジットカードで納付するメリット

  • 時間や場所を選ばず納付できる
  • 手持ちの現金がなくても納付できる
  • ポイントをためられる
  • 支払回数を変更できる

クレジットカードで住民税を納付するには、自治体によって異なりますが、各自治体指定の納付サイトや「地方税お支払サイト」などの決済システムを利用します。コンビニなどの窓口へ行く手間を省け、原則24時間いつでも思い立ったときに納付できます。手数料はかかりますが、手持ちの現金がなくても後払いシステムのクレジットカードなら納付できることもメリットのひとつです。

さらに、クレジットカードのポイントをためられるだけでなく、カードによっては、後から分割払いやリボ払いに支払回数を変更することもできます。
なお、WEBサイトで住民税を納付した場合、領収書は発行されません。また、コンビニや金融機関の窓口での納付の際にクレジットカードは利用できませんのでご注意ください。

住民税の納付は三菱UFJカードがおすすめ

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住民税はクレジットカードで納付しよう

住民税の納付額は、所得や扶養家族の有無のほか、控除制度が影響します。家族構成が変わったり、収入が変化したりした際に備えて、税率や控除制度を知っておきましょう。また、個人事業主の場合、住民税は自分で納付する必要があります。クレジットカードで納付すると、窓口に行く手間を省けるだけでなく、ポイントがためられたり、支払回数を変更できたりさまざまなメリットがあります。住民税を納付する際はクレジットカードをお役立てください。

監修者プロフィール

畑野 晃子(はたの あきこ)

FPサテライト株式会社所属ファイナンシャルプランナー
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
上智大学卒業後、損害保険会社に入社。査定業務を経験したのち、グループ内の生命保険会社に配属される。金融機関向けの代理店営業を担当し、セミナーや研修の講師を数多く経験。結婚を機に退職。その後、住宅購入の際にFPへ相談したことをきっかけに、ライフプランニングサービスに魅力を感じ、1級FP技能士資格を取得。自身の金融業界での勤務経験から、商品提案ありきではない、より中立的な立場でお客様の課題を解決したいと考えたことから、FPサテライト所属ファイナンシャルプランナーとして活動している。

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よくある質問
年収300万円なら住民税はいくらですか?
住民税は、扶養家族の有無や控除制度などによっても税額が変わるため一概にいくらとはいえません。目安としては、前年の年収が300万円で特別な控除制度がなければ、住民税は12万円前後となるでしょう。(2025年3月時点)
なお、今後の税制改正によって、基礎控除や給与所得控除の額は変わる可能性があります。最新情報については国税庁や自治体のWEBサイトなどをご確認ください。

詳しくは「住民税の計算例」をご確認ください。
住民税の税額を抑える方法は?
住民税が非課税になる条件に該当したり、控除制度を利用したりすると住民税の税額を抑えられます。

詳しくは「住民税の負担を抑えるには?」をご確認ください。
住民税はどうやって納付すれば良いですか?
住民税の納付は自治体から送付される納税通知書を使って、金融機関やコンビニの窓口で現金で納付します。そのほか、自治体によって異なりますが、各自治体指定の納付サイトや「地方税お支払サイト」などの決済システムからクレジットカードで納付することも可能です。クレジットカードで納付するとポイントがためられたり、支払回数を変更できたりするためおすすめです。

詳しくは「住民税をクレジットカードで納付するメリット」をご確認ください。